減価償却が終わったら
税額はどう変わるか

毎年の確定申告で経費として使っていた減価償却費は、耐用年数が終わるとゼロになります。それだけで不動産所得が増え、税負担が上がります。

ポイント

減価償却費がなくなると不動産所得が増加し、所得税・住民税が上がる。家賃収入や他の経費が変わらなくても、減価償却費の消滅だけで税額が上がる。

償却あり・なしの比較(例題)

償却期間中(現在)
家賃収入120万円
経費(償却除く)40万円
減価償却費30万円
不動産所得50万円
給与所得400万円
所得控除合計120万円
課税所得330万円
所得税額 約 33.8万円
償却終了後
家賃収入120万円
経費(償却除く)40万円
減価償却費0円
不動産所得80万円 ↑
給与所得400万円
所得控除合計120万円
課税所得360万円 ↑
所得税額 約 39.8万円
この例では減価償却費30万円の消滅により、所得税だけで年間約6万円の増税。住民税(所得割)も約3万円増加し、合計で年間約9万円の負担増になる。

自分の数値で試算する

減価償却終了後の税額変化シミュレーター
※簡易計算です。復興特別所得税・住民税均等割は含みません。
償却期間中の所得税
課税所得:—
償却終了後の所得税
課税所得:—
増加税額(所得税): / 住民税も約増加見込み

償却終了後の対策

1
青色申告に切り替えて10万円控除を取る
青色申告特別控除(10万円)を活用することで、不動産所得を10万円圧縮できる。ただし不動産所得が黒字の場合のみ有効。切り替えるには「青色申告承認申請書」を適用を受けようとする年の前年12月31日までに税務署へ提出する必要がある。
2
修繕・リフォームを計画的に行う
修繕費として認められる工事(原状回復・維持)は全額経費計上できる。償却終了のタイミングに合わせて計画的に実施することで所得を抑えられる。
コラム:減価償却費の本当の意味

減価償却費は現金の支出を伴わない経費です。帳簿上は費用として計上されますが、実際には毎年その分のキャッシュが手元に蓄積されています。

家賃収入100万円
(現金が入る)
減価償却費30万円を
経費計上しても
現金は出ていかない

言い換えれば、償却期間中は「税金を払わずに手元に残したキャッシュ」が年々積み上がっている状態です。このキャッシュをどう活用するかが、長期的な資産形成のカギになります。

たとえば、蓄積したキャッシュを次の物件取得の頭金に充てたり、大規模修繕の資金として積み立てたりすることで、節税効果を次の投資活動につなげることができます。減価償却の終了は「節税の終わり」ではなく、蓄積したキャッシュを活用する局面への転換点と捉えるとよいでしょう。

詳細はシミュレーターで確認
タブ③「減価償却」で償却終了年度を確認し、タブ⑦「税額計算」で実際の税額変化をシミュレーションできます。
シミュレーターを開く →
参考法令・資料:所得税法第26条・第89条(税率)、所得税法施行令第120条・第120条の2(減価償却)、租税特別措置法第25条の2(青色申告特別控除)、所得税法第144条(青色申告承認申請)、地方税法第313条(住民税所得割)