入居者がいない期間でも、不動産賃貸業を継続している限り、経費の計上は認められます。ただし「賃貸する意思がある」ことを示す記録が重要です。
不動産所得の必要経費は、「その年に不動産賃貸業を営んでいること」が前提です(所得税法37条)。空室かどうかは関係なく、賃貸する意思をもって物件を保有・管理していれば、経費として計上できます。
ただし、経費計上が認められるためには「賃貸業を継続している実態」が必要です。長期空室や自己使用が疑われる場合は注意が必要です(後述)。
| 経費の種類 | 空室中の扱い | 補足 |
|---|---|---|
| 管理費・管理委託料 | 計上できる | 空室でも管理会社への委託を継続していれば計上可 |
| 固定資産税・都市計画税 | 計上できる | 納税義務は所有者に帰属。入居状況に関係なく計上可 |
| 損害保険料(火災保険等) | 計上できる | 賃貸物件の保険料として計上可。長期前払の場合は期間按分 |
| 借入金利息(建物取得分) | 計上できる | 建物取得のための借入利息は計上可。土地取得分の利息は損益通算制限あり(2-03-③参照) |
| 減価償却費 | 計上できる | 建物は使用・未使用を問わず償却が進む。空室中も計上可 |
| 入居者募集費用(広告費等) | 計上できる | 仲介業者への広告掲載費・礼金の一部など。賃貸意思の証拠にもなる |
| 水道光熱費(共用部分) | 計上できる | 共用廊下・駐車場等の電気代など。専有部分の光熱費は原則不可 |
| リフォーム・修繕費 | 要判定 | 修繕費か資本的支出かの判定が必要(2-04-①参照) |
| 自己使用部分の費用 | 計上不可 | 賃貸用途以外に使用している部分の費用は按分が必要、または計上不可 |
以下のような状況では、税務調査で「不動産賃貸業を営んでいない」と認定され、経費計上が否認されるリスクがあります。
・長期間(目安:2年以上)空室が続いている
・募集活動の記録がなく、入居者を探している実態が確認できない
・将来的に自己使用・売却を予定していることが明らかな場合
・親族に無償または著しく低い賃料で貸している場合
経費計上の正当性を守るために、以下の書類・記録を保存しておくことを推奨します。
空室が1年を超えてきたら、募集条件(賃料・礼金・敷金)の見直しや、リフォームによる競争力強化を検討することが、経費計上の正当性を守る観点からも重要です。「適正な賃料で積極的に入居者を募集している」という実態を維持することが、税務上のリスク管理につながります。