2-03 確定申告期間
所得控除(社会保険料・生命保険・医療費等)は確定申告でどこまで使えるか
給与所得者(サラリーマン大家)が不動産所得の確定申告を行う場合、年末調整で完結した所得控除に加えて、
追加・変更できる控除があります。また、年末調整では対応できない控除(医療費控除・ふるさと納税等)は
確定申告でのみ適用可能です。このページでは主な所得控除の扱いを整理します。
ポイント:
年末調整後に支払った社会保険料・iDeCo掛金・生命保険料は確定申告で追加できます。
不動産所得が加わることで合計所得金額が変わり、配偶者控除・基礎控除の適用額が
変わる場合があるため、年末調整時の控除額を必ず再確認してください。
所得控除の全体マップ
| 控除の種類 |
年末調整で完結 |
確定申告で追加・変更可 |
確定申告でしか使えない |
| 社会保険料控除 |
完結 |
追加可 ※1 |
— |
| iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金控除 |
完結 ※2 |
追加可 ※1 |
— |
| 小規模企業共済掛金控除 |
対象外 ※3 |
— |
申告のみ |
| 生命保険料控除 |
完結 |
追加可 |
— |
| 地震保険料控除 |
完結 |
追加可 |
— |
| 配偶者(特別)控除・扶養控除 |
完結 |
修正可 ※4 |
— |
| 基礎控除 |
完結 |
— |
— |
| 医療費控除 |
対象外 |
— |
申告のみ |
| 寄附金控除(ふるさと納税等) |
対象外 ※5 |
— |
申告のみ |
各控除の概要
社会保険料控除
健康保険・厚生年金・国民年金・介護保険料など。支払額全額が控除。
源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄を確認。
所法74条
iDeCo掛金控除
給与所得者も加入可。年間掛金全額が控除。年末調整で反映済みの場合は源泉徴収票で確認。
年末調整後の掛金は確定申告で追加可。
所法75条
小規模企業共済掛金控除
個人事業主・中小企業役員向けの共済制度。年間掛金全額が控除。確定申告でのみ適用可。
所法75条
給与所得者(サラリーマン)は原則加入不可のため、この控除は対象外です。
生命保険料控除
一般生命・個人年金・介護医療の3区分。各区分最大4万円(旧契約は5万円)、合計最大12万円。
新契約・旧契約で計算方法が異なる。
所法76条
地震保険料控除
自宅(居住用)の地震保険料が対象。最大5万円。旧長期損害保険料との調整あり。
所法77条
投資用物件の火災保険・地震保険は、この控除ではなく不動産所得の必要経費として算入します。
医療費控除
(実際の医療費 − 補填額)から、合計所得×5%または10万円のいずれか低い額を差し引いた金額。
上限200万円。セルフメディケーション税制との選択適用。
所法73条
寄附金控除
ふるさと納税を含む特定寄附金。(寄附金合計 − 2,000円)が控除額。上限は合計所得金額の40%。
所法78条
配偶者(特別)控除・扶養控除
年末調整で対応済みが多い。不動産所得が加わり合計所得が変わると適用額が変わる場合があるため、
。
所法83・84条
基礎控除
合計所得2,350万円以下で最大58万円(令和8年分)。全員に適用。不動産所得が加わり
合計所得が2,400万円を超えると
。
所法86条
申告時の確認ポイント
社会保険料・iDeCo
源泉徴収票(「社会保険料等の金額」欄)を確認。年末調整後の追加分は領収書・証明書。iDeCoは「小規模企業共済等掛金払込証明書」を準備。
生命保険料
保険会社から送付される生命保険料控除証明書(10〜11月頃)。新契約・旧契約を区別して保管。年末調整で使用済みの場合も証明書は手元に残す。
地震保険料
損害保険会社から送付される地震保険料控除証明書。自宅(居住用)分のみ対象。投資用物件の証明書と混同しないよう注意。
医療費
医療費の領収書または医療費控除の明細書(令和元年分以降、領収書の添付不要・5年保存義務あり)。健康保険組合の「医療費通知」も利用可。
寄附金(ふるさと納税)
寄附金受領証明書(各自治体から送付)。ワンストップ特例を利用していた場合は確定申告で改めて申告が必要。
配偶者・扶養
配偶者や扶養親族の合計所得金額を確認。不動産所得が加わり申告者の合計所得が900万円を超えると配偶者控除・特別控除の金額が変わる。
参照条文・タックスアンサー
配偶者控除・配偶者特別控除 控除額一覧(令和8年分)
不動産所得が加わることで申告者本人の「合計所得金額」が増加し、配偶者控除・配偶者特別控除の
区分が変わる場合があります。年末調整で適用した控除額と一致しているか確認してください。
■ 配偶者控除(控除対象配偶者・老人配偶者)
| 配偶者の合計所得 |
申告者の合計所得金額 |
| 900万円以下 |
900万円超 950万円以下 |
950万円超 1,000万円以下 |
| 48万円以下(一般) |
38万円 |
26万円 |
13万円 |
| 48万円以下(老人・70歳以上) |
48万円 |
32万円 |
16万円 |
※ 申告者の合計所得が1,000万円超の場合、配偶者控除は適用不可。
■ 配偶者特別控除
| 配偶者の合計所得 |
給与収入換算 (目安) |
申告者の合計所得金額 |
| 900万円以下 |
〜950万円 |
〜1,000万円 |
| 48万円超95万円以下 |
〜150万円 |
38万円 |
26万円 |
13万円 |
| 95万円超100万円以下 |
〜155万円 |
36万円 |
24万円 |
12万円 |
| 100万円超105万円以下 |
〜160万円 |
31万円 |
21万円 |
11万円 |
| 105万円超110万円以下 |
〜167万円 |
26万円 |
18万円 |
9万円 |
| 110万円超115万円以下 |
〜175万円 |
21万円 |
14万円 |
7万円 |
| 115万円超120万円以下 |
〜183万円 |
16万円 |
11万円 |
6万円 |
| 120万円超125万円以下 |
〜190万円 |
11万円 |
8万円 |
4万円 |
| 125万円超130万円以下 |
〜197万円 |
6万円 |
4万円 |
2万円 |
| 130万円超133万円以下 |
〜201万円 |
3万円 |
2万円 |
1万円 |
| 133万円超 |
201万円超 |
適用不可 |
適用不可 |
適用不可 |
参照: 所法83条・83条の2、タックスアンサー
No.1191 ・
No.1195